第71回 日本PTA全国研究大会広島大会 全体会に参加して
全国的に暑さが猛威を振るった2023年夏。そんな中、気温だけではなく会場の雰囲気が熱気を帯びて沸き上がった第71回日本PTA全国研究大会広島大会に参加してきました。テーマは「変化の時代に向け、PTA自身が学びの変革を!~見つけ 考え かわろうや ぶち楽しいで!!~ 広島から全国へ」。集まったのは全国の小・中学校PTA会員及び教育関係者が約7,000人。
2日間に渡る大会の全体会2日目は、40年前から人間と人工知能の対話研究をし、脳の気分を読み解く感性研究の第一人者として活躍されている黒川伊保子(くろかわいほこ)さんの記念講演でした。ChatGPTやロボットペットなどの人工知能=AIが身近な時代になった令和の世の中。20世紀までは例えば「4周走れ!」と言われたら余計なことを考えず、がむしゃらに走る人間を育てるのに向いていた時代でしたが、そんな時代はとっくに終わり、21世紀は新時代を担う子どもたちの感性の翼を羽ばたかせる為、まずは保護者が子どもたちへの声かけを変えていく意識改革が大切であることを学びました。
皆様は問題が生じそうな時、子どもの失敗を未然に防ぐために注意をする方ですか?もしくはある程度は目をつぶり見守りますか?実は私はよく注意してしまうほうです。もちろん、命にかかわることや大きなけがをすることが明らかに分かっているときは別ですが、むやみやたらに失敗を未然に防いでしまうと脳のセンスがどんどん悪くなってしまうそうです。もっと言うと脳は失敗を重ねただけ、どんどん考えるようになる素晴らしい機能を持っているとのこと。失敗は悔しいしできればしたくないし、させたくない気持ちがあるかもしれませんがそこで大切なのは「失敗が続いても劣等感を持たないこと」と黒川さんはお話されました。失敗が続き子どもたちが自分を責めそうになったら「こうやってみたらどう?」というヒントを差し出す。声かけの方法を変えてみると、その先の子どもたちの選択肢がどんどん広がることがお話から感じ取れました。これは私たち大人にも同じことが言えると思いました。
また日常の中で子どもに「ダメ!」と言ってしまうことがあるかと思います。私はよくあります・・・
この「ダメ!」は、親はタスクへのダメ出しで言ったつもりでも、子どもにとっては自分への人格否定に聞こえる場合があるそうです。そうすると自己肯定感が下がり、失敗を恐れ自分の意見を言えなくなり、心が閉じこもりやすくなるかもしれないとのこと。
先に書いたChatGPTですが、これはとても便利なAIツールです。質問をしたら何でも答えてくれます。しかし、自分の思った答えが見つからないとどんなに素晴らしいツールを使っても「よくない」となってしまいます。そこで必要なのは人間の「発想力」と「対話力」だと黒川さんは言います。
つまらない質問をすればつまらない答えしか返ってこない。逆におもしろい質問をすれば、おもしろい答えが返ってくる。こんなにAI時代が浸透している世の中ですが、そのAIを使うのは私たち人間です。ChatGPTで納得いく答えが出なければ、質問の内容を変えればいい。子どもたちがAIとしっかりと共存できるバランス、またその道のりを作っていく過程では、私たち親子の日々の「対話」がべ-スになるんだなとお話を聞きながら思いました。
その他、黒川さんご自身のご家庭での話も交えて大きな会場がドッと笑いの渦に巻き込まれるほど、とても楽しく素晴らしい時間でした。今回このような大変有意義な研究大会に参加させていただき、心から感謝いたします。
東区PTA連合会 副会長 大野 陽子